フィナンシャル・タイムズのMBAランキングとは?

フィナンシャル・タイムズはイギリスで発行されている経済紙です。紙の色がサーモンピンクであることから、「ピンク・アン」(Pink ‘Un)と呼ばれています。出版社などを傘下に持つイギリスの複合メディア企業ピアソンの子会社でしたが、2015年に日本経済新聞社が1600億円で買収。日経新聞の傘下になりました。それではフィナンシャル・タイムが発表するランキングについて解説します。

フィナンシャル・タイムズのMBAランキングは客観指標型のランキング

MBAランキングは数多く出されており、①フィナンシャルタイム以外にも、②ビジネスウィーク、③フォーブス、④US ニュース&ワールドレポート、⑤エコノミスト等のメディア系が調査するランキングと、⑥Eduniversal、⑦QS World Rankings、⑧Times Higher Educationの8つが主なものです。これらの調査を2つに分けるとすると、主観指標型と客観指標型に分かれます。フィナンシャル・タイムズのMBAランキングは 、客観指標を用いたFact-based型のです。

フィナンシャル・タイムズのMBAランキングには国際認証が必要

フィナンシャル・タイムズのランキングの参加資格は、①AACSBまたはEQUISの国際認証を取得していること、②少なくとも4年間のプログラムを実施していること、③ランキング発表日の少なくとも3年前に最初のクラスを卒業していることの3つです。この時点で国内MBAは以下の6つの学校に絞られます。この上でエントリーした上で、基準に沿って採点されてランキングが付くという流れです。

  • 慶應義塾大学大学院経営管理研究科(KBS) 2000年 2005年  AACSB
  • 名古屋商科大学大学院(NUCB) 2006年 2011年  AACSB
  • 立命館アジア太平洋大学経営管理研究科(APU) 2016年  AACSB
  • 国際大学国際経営学研究科(IUJ) 2018年  AACSB
  • 早稲田大学大学院経営管理研究科(WBS) 2020年  AACSB EQUIS
  • 一橋ビジネススクール国際企業戦略専攻(ICS)2021年  AACSB

フィナンシャル・タイムズのMBAランキングは7部門がある

フィナンシャル・タイムズでは毎年7つのランキングが発表されます。

①Global MBA
Executive MBA
③Master in Management
④Master in Finance
⑤Executive Education
⑥European Business School
⑦Online MBA

フィナンシャル・タイムズのMBAランキングの評価基準は?

ランキング評価基準には20基準に細分化されています。卒業生の回答は8つの基準で構成されており、その重みの61%を占めています。また11基準は学校のデータから算出され、ランキングの29%を占めています。残りの基準である研究ランクは、10%を占めています。 以下、Global MBA Rankingの評価基準です。

①重み付けされた給与(20%)
修了後3年間の卒業生の平均給与、購買力平価換算で米ドル、部門間の差異を調整したもの
②昇給額(20 %)
MBA取得前から現在までの卒業生の平均給与の差。この数字の半分は絶対的な昇給率、半分はMBA取得前の給与に対する相対的な昇給率に基づいて算出される。
③費用対効果(3 %)
現在の給与、コース期間、授業料、その他の費用(MBA期間中の収入減を含む)を用いて算出。
④キャリアアップ(3 %)
MBA取得前と比較して、現在の年功序列や勤務先の規模の変化に応じて算出。
⑤目的の達成度(3 %)
MBAを取得した目的や理由がどの程度達成されたかを示す。
⑥キャリアサービス(3 %)
卒業生が評価した、キャリアカウンセリング、自己啓発、ネットワーキングイベント、 インターンシップ探し、リクルートに関する学校のキャリアサービスの有効性。
⑦3ヶ月後に就職した(2 %)
直近の卒業生のうち、学業を終えてから3ヶ月以内に就職した、または仕事のオファーを受けた人の割合。
⑧卒業生が推薦する学校(3 %)
卒業生が MBA 卒業生を採用すると思う 3 つの学校を選択して算出。
⑨女性教員(2 %)
女性教員の割合。 
⑩女子学生(2 %)
フルタイムのMBAに在籍する女子学生の割合。 
⑪女性役員(1 %)
学校の諮問委員会の女性メンバーの割合。 
⑫インターナショナル・ファカルティ(4 %)
国籍によるファカルティの多様性と、雇用国と異なる国籍を持つファカルティの割合に応じて算出される。
⑬外国人学生(4 %)
現在のMBA学生の多様性を国籍別に算出し、国籍が留学先の国と異なる者の割合-表中の数値。
⑭国際理事会(2 %)
学校が所在する国と異なる国籍を持つ理事の割合。
⑮国際的な移動性(6 %)
卒業生の国籍と、MBA取得前、卒業時、3年後に働いた国に基づいて算出。
⑯国際的なコース経験(3 %)
直近の卒業したMBAクラスが、学校の所在地以外の国で、少なくとも1ヶ月間の交換留学や企業インターンシップを行ったかどうかによって算出。
⑰追加言語(1 %)
英語を除く、卒業時に必要な言語数。
⑱博士号を持つ教員(5 %)
博士号を持つフルタイムの教員の割合。
⑲FT研究ランク(10 %)
直近に選択された50の学術・実務雑誌に現職の常勤教員が発表した論文数に応じて算出。FT50ランクは、出版物の絶対数と、教員の規模に応じて相対的に重み付けされた数を組み合わせたものです。 
⑳企業の社会的責任(3 %)
CSR、倫理、社会、環境問題に特化したコアコースの授業時間の割合。 

さて評価基準はダイバーシティやCSR等も含み多様ですが、配点を見ると分かるのが「給料とキャリア」の重要度が高いことです。換言すると学生の「ROI(投資収益率)」に重きを置いて採点しています。さすが経済誌ですね。ビジネススクールこそ「投資」だと思っているのですね。

フィナンシャル・タイムズのフルタイムMBA部門のランキング1位は「Insead」

FT Global MBA ranking 2021

2021年版には合計143校が参加しました。ただしここには米国のHarvard、Pennsylvania: Wharton、Stanfordm、Columbiaという超有名MBAはランクインされていません。コロナ禍による影響が大きいようです。これが本当に世界のTOP100であるかどうかは閲覧者の価値観にゆだねられるところがあります。

2021年とトップはInsead(欧州経営大学院)でした。フランス・フォンテーヌブロー、シンガポール、アブダビにキャンパスを展開しています。1年制MBAプログラムであること、80か国以上から学生が集まっており言語・国籍の多様性があることなどが特徴に挙げられます。

#School NameEmployed at three months  (%)Salary today (US$)Location, by primary campus
1Insead83 (97)190,680France / Singapore
2London Business School88 (99)178,190UK
3University of Chicago: Booth91 (97)204,651US
4Iese Business School79 (95)166,104Spain
4Yale School of Management86 (100)189,315US
6Northwestern University, Kellogg School of Management93 (100)191,744US
7Ceibs91 (100)172,316China
7HEC Paris90 (85)170,837France
9Duke University’s Fuqua School of Business91 (99)178,000US
10Dartmouth College: Tuck92 (100)183,833US
Global MBA Ranking 2021

FTは給与重視ですが1位から10位までの給与は2100万円~1800万円程あります。数年の勉強期間、多額の学費の先にはそれに見合う給与が待っています。

過去10年では「ハーバードビジネススクール」が1位を4回経験

コロナ禍前のランキングを見ると「ハーバードビジネススクール」が2012年~2021年の10年間で1位を4回、2位を3回という圧倒的な実力校です。他にも スタンフォードビジネススクールやインシードや ペンシルベニア大学:ウォートン校などが上位常連ビジネススクールです。

卒業生に結果を出させる?!ハーバードビジネススクールでは、特にケースメソッド方式(事例研究法)を授業スタイルとして採用したことで有名です。ケースメソッドは、ロースクールにおいて開発され、それをビジネススクールにも応用しました。尚、NHKの白熱教室に登場したマイケル・サンデル教授はハーバード大学で「政治哲学」を教えていました。

グローバルMBAランキング2020
1ハーバードビジネススクール
2ペンシルベニア大学:ウォートン
3スタンフォードビジネススクール
4インシード
5セイブス
2019年グローバルMBAランキング
1スタンフォードビジネススクール
2ハーバードビジネススクール
3インシード
4ペンシルベニア大学:ウォートン
5セイブス
2018年グローバルMBAランキング
1スタンフォードビジネススクール
2インシード
3ペンシルベニア大学:ウォートン
4ロンドンビジネススクール 
5ハーバードビジネススクール
2017年グローバルMBAランキング
1インシード
2スタンフォードビジネススクール
3ペンシルベニア大学:ウォートン
4ハーバードビジネススクール
5ケンブリッジ大学:ジャッジ
2016年グローバルMBAランキング
1インシード
2ハーバードビジネススクール
3ロンドンビジネススクール 
4ペンシルベニア大学:ウォートン
5スタンフォードビジネススクール
2015年グローバルMBAランキング
1ハーバードビジネススクール
2ロンドンビジネススクール 
3ペンシルベニア大学:ウォートン
4インシード
5スタンフォードビジネススクール
2014年グローバルMBAランキング
1ハーバードビジネススクール
2スタンフォードビジネススクール
3ロンドンビジネススクール 
4ペンシルベニア大学:ウォートン
5コロンビアビジネススクール
2013年グローバルMBAランキング
1ハーバードビジネススクール
2スタンフォードビジネススクール
3ペンシルベニア大学:ウォートン
4ロンドンビジネススクール 
5コロンビアビジネススクール
2012年グローバルMBAランキング
1スタンフォードビジネススクール
2ハーバードビジネススクール
3ペンシルベニア大学:ウォートン
4ロンドンビジネススクール 
5コロンビアビジネススクール

国内MBAでランクインしたことがあるのは名古屋商科大ビジネススクール

2021年の世界MBAベスト100にランクインした日本国内のMBAはありません。過去に唯一、見つけることができたのが名古屋商科大学ビジネススクールのExecutive MBAプログラムです。それも世界ではなく、アジア太平洋エリアの18位(2018年)でした。

https://www.ft.com/content/14221926-e9bb-11e8-94da-a6478f64c783

アジアのMBAはすごい勢いで伸びている。

アジア太平洋エリアのMBAにフォーカスします。世界TOP100のなかでアジア太平洋エリアのMBAは20校がランクインしました。世界のTOP校の約2割がアジアにあると言えます。

なおアメリカは48校、イギリスが9校、フランスが5校(含む Insead )、スペイン4校、カナダ4校、ドイツ3校でした。

国別にみても中国は世界3位のビジネススクール大国と言うことになります。特に中欧国際工商学院(CEIBS)は世界トップ10に入る実力をもったビジネススクールです。1学年170人の学生がいますが、日本人は2人ぐらいですが、日本語の情報発信もあるので参考になります。

■FTMBAランキングのアジア太平洋エリア(20校)

世界ランキング
 シンガポールのMBA(4校) 
1InseadFrance / Singapore
14National University of Singapore Business SchoolSingapore
37Nanyang Business School, NTU SingaporeSingapore
58Singapore Management University: Lee Kong ChianSingapore
   
 中国・香港のMBA (5+3校)  
7CEIBS China Europe International Business SchoolChina
32Fudan University School of ManagementChina
53Shanghai Jiao Tong University: AntaiChina
64Shanghai University of Finance and Economics: College of BusinessChina
67Tsinghua University School of Economics and ManagementChina
22HKUST Business SchoolHong Kong
29HKU Business SchoolHong Kong
48CUHK Business SchoolHong Kong
   
 インドのMBA(5校) 
23Indian School of BusinessIndia
35Indian Institute of Management BangaloreIndia
44Indian Institute of Management CalcuttaIndia
48Indian Institute of Management AhmedabadIndia
94Indian Institute of Management IndoreIndia
   
 韓国のMBA(1校) 
35Sungkyunkwan University GSBSouth Korea
   
 オーストラリアのMBA(2校) 
79AGSM at UNSW Business SchoolAustralia
87Melbourne Business SchoolAustralia

フィナンシャル・タイムズのランキングはホームページで公表

フィナンシャル・タイムズのランキングはホームページで公表されています。過去のランキングも確認できるので学校の取り組みが時系列で分かります。

https://rankings.ft.com/home/masters-in-business-administration

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